~ カジュアルファッションが大好きな県は石川県、福井県、岡山県!? ~
平成27年6月25日
NTTタウンページ株式会社
NTTタウンページ株式会社(代表取締役社長:岡田 昭彦、本社:東京都港区虎ノ門3-8-8)は、タウンページデータベース(職業別電話帳データ)を活用してさまざまなマーケティング情報を提供しており、自社が運営する商品紹介サイト「TPDB.jp」では、毎月独自の都道府県ランキングを発表しています。
誰もが1本は持っているジーンズ。
丈夫なデニム素材から作られるジーンズは、その誕生の歴史から、労働者の勲章であり自由や反逆のシンボルと捉えられていました。今、デニムはカジュアルだけでなく、ハイエンドファッションにも用いられ、多くの有名ブランドがジーンズを商品化しています。2015年は、春〜夏にかけてメンズもレディースもデニムが大流行。ファッション紙では数多くのコーディネート特集も組まれています。
今月は、年代を超えてファッションの定番になっているジーンズショップのランキングです。
【ジーンズ人気の裏にヒーローの力あり!】
実は、元々フランスで生まれたデニム地がイギリスの織物技術で広く普及し、アメリカで完成されたジーンズ。その誕生からして、世界を股にかけるという言葉がピッタリで、衣類の一つでありながらファッションだけには納まらないシンボリックな魅力があります。
ジーンズが仕事着から普段着へと進化した過程に、カウボーイの存在があることはよく知られています。
アメリカ人がカウボーイに好感を持つ理由は、開拓者精神に憧れを感じるからだとか。移民の国というアメリカならではの文化的背景が感じられますね。また、小説や西部劇で悪漢と戦う理想的なヒーローが登場し、イメージアップに一役買ったのも大きいでしょう。1930年代に発展した産業の一つに映画があり、登場するカウボーイが好んで着用したことや、ジーンズの原型を誕生させたリーバイスがカウボーイを宣伝ポスターに使ったことから、ジーンズは瞬く間に一般に普及しました。いつの時代もヒーローに憧れる気持ちは変わらないようです。
日本でのジーンズ人気は、関東大震災時の支援物資の中に入っていたり、戦後の闇市で売られたのを経て、1960年代に輸入規制が緩和されたことで広がりました。学生運動やヒッピーファッションの流行もあり、若者文化のシンボルに。もちろんその陰にも、「ローハイド」や「ララミー牧場」と言った1960年台に流行った古いアメリカのテレビドラマや、ジェームズ・ディーンやマリリン・モンローといった大スターが映画で着用していた影響があります。
【繊維王国とジーンズ発祥の地は、ジーンズショップでもトップに!】
ジーンズショップ登録件数は、この10年で4割近く減少しています<図1>。
その理由は、ファッションの多様化でジーンズだけではなく総合衣料店へと転換を図っていること、返品や交換への不安が減少したことでテレビやネットでの衣類購入のハードルが下がったこと等が考えられます。
一方、ジーンズの国内生産数量は回復傾向に。ファストファッションブームが一段落したことや、品質や機能性重視の消費者層が成長してきたことが要因だと思われます<図2>。
<図1>ジーンズショップの登録件数推移(2006年〜2015年)
<図2>ジーンズ協議会加盟者のジーンズ生産量推移(協力:ジーンズ協議会)
人口10万人当たりのジーンズショップ登録件数1位を獲得したのは、北陸新幹線開通で話題の石川県(2.42件)。2位は福井県(2.15件)、3位に岡山県(2.08件)と続いています<図3>。
<図3>人口約10万人当たりのジーンズショップ登録件数による都道府県ランキング(2015年)
加賀百万石の和の伝統を擁する石川県がジーンズショップ1位というのは少々意外な気もしますが、芸術に秀でた城下町という環境が、人々を文化的で新しいもの好きにした側面があると考えると、納得できますね。同時に、石川県は日本の繊維産業の拠点であり、県の基幹産業のひとつとして位置づけられていることも「織り」に魅力があるジーンズへの親しみを生んでいる理由かも知れません。「繊維王国いしかわ」は、高品質・高機能繊維での高い評価からも明らかなように、美意識と技術の2つの柱で支えられているようです。2位の福井県も繊維産業が盛んな県。その歴史も古く、奈良時代から全国有数の絹織物産地となっていました。
そして、3位の岡山県といえば、日本のジーンズ発祥の地でも有名な倉敷市児島があります。1960年代に初めて国産のジーンズを生産して以来、日本人ならではの繊細さが紡ぎ出す染め・織り・断裁・縫製・加工技術で、品質は世界でもトップクラス。特に加工はずば抜けており、有名ブランドからの注文も多く、その評価はジーンズのシリコンバレーとも称されるほどです。また、児島には地元ジーンズメーカーのショップが連なるジーンズストリートがあり、ジーンズを中心とした商店街活性化をめざしていて、観光スポットとしても注目を集めています。
【ジャパンブルー、世界へ】
ジーンズは、日本人にとって相性の良い衣類でもあります。というのは、ジーンズを染めるインディゴは、実は私たちに古くからなじみのある藍のことだからです。江戸時代から、殺菌・消臭・防虫・耐火性のある藍染めが作業着に選ばれていて、各地に紺屋(こうや)という藍染め専用の染物屋がありました。庶民から武士までリーズナブルな日常着として定着しており、「色落ち」「汚れ」等、時間の経過とともに変化する過程が好まれていたのもジーンズと同じです。明治時代に来日した外国人は、日本中にあふれる着物や浮世絵、のれんや団扇等の濃淡様々な青に驚き「ジャパンブルー」と名付けました。小泉八雲も「日本は神秘なブルーに満ちた国」と絶賛しています。
そんなジーンズ業界に、今年に入ってから石川県と岡山県がタッグを組んで、ジーンズを中心とする新たな衣料ブランド作りに乗り出したとの情報がもたらされました。高機能繊維が得意な石川県が素材開発や上着を受け持ち、新素材を使ったジーンズやデニム雑貨の開発を岡山県が担い、新素材を使った機能性の高いジーンズや斬新なデザインの導入で、安価な外国産に対抗する予定です。
地方創生が叫ばれて久しいですが、地方同士が手を組んで世界をターゲットに未来へ向かうのは、なんだかワクワクしてきますね。
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H27広表第132号
審査15-0612-1